風俗人形

雛人形と並ぶ代表的な衣裳着人形で、ケースに入れて鑑賞用とされます。人形は時代風俗、とくに能、狂言、演劇、舞踊に題材を得たものが多く、春駒、お三輪、道成寺、汐汲、藤娘などがあります。テーマが多様であるだけに、髪型、衣裳などの時代考証に苦慮しますが、それだけに製作者の創造性と技量が発揮される分野です。

創作人形
芝居『本朝二十四孝』の八重垣姫
上杉謙信の姫。許嫁の武田勝頼が謙信の策略にかかって殺されようとするのを助けるため、武田家の秘宝「諏訪法性の兜」を持ち出し、諏訪湖を渡って勝頼を追う名場面を人形にしたもの。
謡曲『江口』の江口の君
摂津の国江口の里の遊女、江口の君。江口を訪れた旅の僧の前に現れた江口の君の亡霊。屋形船で歌舞を舞ううち、舟は白象になり、江口の君は普賢菩薩に身を変えて西の空に昇っていく。
歌舞伎「哥へす哥へす余波大津絵」の藤娘
「哥へす哥へす余波大津絵」(かえすがえすなごりのおおつえ)という五変化舞踊の1場面。大津絵にある藤の枝を担いだ娘の姿。